
卒业生が研究室を巣立って、彼らのデータ整理や年度末の学会などを终えると、今年もあっという间に4月になった。新たな4年生がメンバーとして加わり、研究室がまた慌ただしくなった。このサイクルを繰り返すようになって、もう10年ほどになる。これだけ繰り返していると、年々自分の心持ちも変化してきているのを感じる。気持ち新たになるこの时期に思うことをつぶやかせて顶く。
毎年のことであるが、卒论?修论を前にすると、これまでなかなかエンジンのかからなかった学生も、目を见张る势いで実験し、なんとかデータを揃えてくる。昨年度の学生も最后のがんばりが実を结び、皆良い発表をして卒业していった。叁食をレンジでチンするパスタだけで过ごし、発表直前まで実験をしていた学生もいた。追い込み时の爆発力も时には必要だとは思うけれども、见ていてひやひやするし、このがんばりをもう少しコンスタントに発挥できれば、どれほど研究がすすんだろうかと思う。
こうして学生が卒业していくと、ほっとすると同时に、ようやく一人前になったかなと思う学生が研究室を去って行くことに、なんとも残念なうらめしいような気持ちになることがよくあった。もう少し研究室にいて実験してくれれば、论文になりそうなのに、とか、新しい展开が期待できそうなのに...、など。一方、会社や研究机関などでは、多少の入れ替わりはあるだろうが、基本的には同じメンバーで一绪に仕事をし、目标を共有し、共に経験を积み重ねながら成长できる。そのような环境をうらやましく思うこともあった。そんなことを、ある会社の研究所の方に话したところ、全く意外なことを言われた。「いや、大学の方こそうらやましいですよ。毎年必ず新しい人(学生)が入ってくるじゃないですか。」と。一般の研究所では、大学の研究室のように短期间で人が入れ替わることはあまりなく、ともすれば雰囲気がマンネリ化するようなこともあるそうだ。そうなると部署内の活性化のためにも工夫が必要らしい。その点、たしかに大学の研究室は学生が入れ替わることで、いやでも気持ち新たに仕事に取りかかる。新しい研究テーマを立ち上げるときなどはなおさらだ。それなりのエネルギーは必要だし、毎年同じ実験を一から教えるのも亿劫に感じるときもあるけれども、少なくとも自分にとってはマンネリ化を防ぎ、研究のモチベーションの一部としてプラスに影响しているところはあるだろう。
学生の侧からするとどうだろうか。修士课程まで进めば、研究室で过ごす期间は3年间である。配属されたばかりの4年生にとっては、3年后なんてはるか先のことのように思うかもしれない。与えられたテーマを理解するのにも时间がかかるし、研究室や実験に惯れてきても、思うような结果が出ずスランプみたいなこともあるだろう。その间にも大学院入试、卒论修论、学会、就职活动もある。しかし、研究は时间のかかるものなので、我々スタッフの时间轴からすると、わりとあっという间にすぎる。自分の学生时代を思い返すと、今は実験技术が进歩し、研究の进め方も一昔前とはずいぶん変わり、短い期间で理解するにはたいへんな内容になってきている。自分の卒业论文はバクテリアの数キロベースの遗伝子をクローニングし、サンガー法で塩基配列决定をやっただけだったが、いまや次世代シークエンサーであっという间に全ゲノムを决定できる。さらに、遗伝子発现解析、タンパク质発现など当然のことのようにやらねばならない。
今は平和な世の中ではあるが、科学的にも社会的にも歴史的に见れば大きな変动点だといわれる。バイオの世界も様々な発见や技术革新が相次ぎ、同様に大きな変动点にあると思う。そういう意味ではこの时代に研究に飞び込んでくる学生は大変ではあるかもしれないけれども、逆に考えると色んな事を学べて、その変化を身をもって体験できる时期と场所にいるラッキーな人たちかもしれない。さらにもしかすると、その変动を自分の手で生み出すことができるかもしれない。研究の醍醐味は、研究者自身が発见の现场に、谁よりも早く立ち会えることにあると思う。今年の4年生も、まだ右も左もほとんど分からない状态で入ってきて、5月の连休でようやく一息といったところだろう。この时期はバタバタと落ち着かないけれども、最近はフレッシュな期待感のようなものを感じるようになってきた。今年度もその期待感を(良い)惊きや楽しみに変えられるよう研究に取り组んでいこうと思う。

休日の研究室。いつもは人がいます。