法科大学院では、専門職である法曹を養成することが目的である以上、資格試験に合格させる試験勉強をさせるのではなく、資格試験も一つのタスクとしてクリアできる問題解決力を修得させているのかという観点でその結果を分析しなければならない。そういう目で現状を見直し法科大学院の教育をより一層充実させていくという "Integrity" が必要である。
この言葉を聞いたとき、"Integrity" の意味が今ひとつピンと来なかったのを覚えています。最近、このことを思い出すことがありました。手に取った新書に、"Integrity"が、言葉のイメージとしては「一本筋が通っている」「どんなときでも、だれも見ていなくても、正しい判断や行いができる強い姿勢」であるとの一節を見たときです。?ああ、そういうことだったのか?と納得しました。
特定の目标を立て、それを実现するための方法を导入し、実行する、そして改善を加えつつ进化させる、それは组织が一定の成果を上げるための典型的なプロセスでしょう。いかなる目标を设定するか、どのような方法を採用するか、その方法の実践がどれほど実効的であるのかをどう検証するかを慎重に検讨しプラン二ングすると同时に、组织の构成员一人一人がそのサイクルを常に意识しつつ、いつ、いかなる状况でもこれを动かしていく姿势が必要でしょう。
教育の場であれば、教育を提供する側が教育の目指す方向性とその特長を示し、受領する側もそれを意識しつつ自らの学修に活かしていくという共同作業を行う必要があります。そこには、教える側も教わる側も、教育と学修とを充実させ成果を実感できるものへと充実させていく "Integrity" がそれぞれに期待されています。
この期待に沿うことが意外と难しいのです。组织においてこれからの5年间あるいは10年间に达成すべき目标を确立するとなると、漠然とこうすべきだ、ああすべきだという议论はあっても、挙げられた目标を整理し、统一しなければならないという段になると、目标相互间での紧急性、重要度や达成の容易性等の评価にずれが生じなかなか集约できないこともあれば、目标达成の方法が共有されないこと、场合によってはその组织にその方法が备わっていないこともあり、目标の统一ができず、エネルギー?财?时间の集中的な投入を効果的になせずに终わってしまうこともしばしばあります。
プロの组织が10年以上活动していて、他の组织とは异なる何かを创造し実践できていないというのでは困ります。大学教员となって间もない顷に、大家の先生から、「10年も研究していれば、他人とは违ったことが少しは言えるようになる。大丈夫だよ。」「コツコツと真面目に研究を続けていればの话だが」と言叶をかけられたことがありました。研究の积み重ねにより、他の研究者とは违う视点?视座を获得し、异なるアプローチで问题の本质に迫ることができると教えていただいたと理解しています。组织も同じでしょう。
组织は梦を追ってばかりでは成り立ちませんから、秩序づけられた思考により、目标の确立?整理?统一?集中のプロセスを机能させ、目标を実现させなければならないでしょう。梦や愿望は思考のシステムに组み入れられてこそ、その実现に向け、组织は前进することになります。空想や梦想の世界にとどまることなく、现実世界において目标を达成し成功を得るには、秩序づけられ指向性のある知的プロセスである思考のシステムを身につけること、それを意识づけすることが重要です。教育も、思考のシステムを修得させ训练?强化することが第一の役割であると思います。
法曹になりたいとの梦や漠然としたイメージだけで、それを明确化し具体化するプロセスを自ら歩んでいないために、真に必要なものを见分けられないまま、情报の洪水に押し流されて漂流している学生に遇うと、教育のより一层の充実を目指さなければならないと痛感します。
次回は「いにしえに学びしこと②」です。
