アメリカがゴールドラッシュで沸き、一攫千金を狙って中西部に集まってきた人の一人が后に若手保険外交员から保険セールスの助言を求められた时に必ずこう答えたそうです。「もっと掘れ、掘り返せ。」と。若手保険外交员は、言われてキョトンとしていたそうですが、彼が、ミスミス、ゴールド长者の道を逃した话を闻いて纳得したのだそうです。
彼は、一攫千金を狙った伯父さんについて、借金で简素な掘削道具を入手して金鉱の発掘に向かいました。手堀りするためのシャベルを携えてです。まだゴールドラッシュの先駆けであったので、间违いなく金が出るという有望な山の採掘権を手に入れることができました。伯父さんと一绪に、来る日も来る日も掘りつづけ、とうとう金鉱を掘り当てたのです。
彼らが掘り当てた鉱脉の金は非常に质が良く、无尽蔵に出てきます。当初の借金もすぐに返済でき、彼らは大喜びでした。彼らは手堀りを止め、今度は多额の借金をして大型掘削机械を购入し、本格的に金鉱を掘り进めました。当初は金が大量に掘り出されたのですが、ある日突然、ぱたりと金が出なくなったそうです。
彼らは必死になって周囲を掘りつづけたのですが、金は出ません。大型掘削机を动かす资金もなくなり、その购入のための借金の返済にも困る状况になって、结局、大型掘削机も二束叁文で业者に买い叩かれ、その山の発掘権も手放さざるを得ませんでした。
彼は、それでも残った借金を抱えて故郷に戻り、その返済のためにいろいろな仕事に挑んだけども、うまくいかず、职を転々とし、最后に保険外交员として働きはじめました。彼は苦労はしましたが、めきめき业绩をあげて、全米でトップセールスマンだけが名を连ねる名誉あるクラブの一员にまで登り詰めます。
彼が保険外交员として働きはじめた顷に次の话を闻いて、伯父さんともども地団駄を踏んで悔しがったそうです。彼は、これ以上ないようなチャンスを得ながら、あと一歩の壁を打ち破れず、チャンスを活かせなかったことの教训として、后辈の若手セールスマンに「もっと掘れ、掘り返せ。」とアドバイスしたそうです。
彼らから大型掘削机等を买い取った业者は、机械を引き払ってしまう前に、その山にもう金鉱がないのかを専门家にみてもらうことにしました。専门家は地层等を调査し、彼らが必死に掘っていたところから仅か1メートル下に金脉があることを见つけました。金脉は何かによって生じた断层でズレが生じていたのです。彼らは必死になって金脉を求めて掘りまくったのに、この1メートルのズレを超えられませんでした。业者は彼らの残して行った机械を使って金鉱を掘り、良质で大量の金を手に入れたそうです。
この话は30年近く前に讲演か何かで闻きました。主人公であるトップセールスマンのお名前も覚えていませんし、详细については正确ではない点もあろうかと思います(记忆は自分に都合のよいように作り替えられるそうですから)が、いまだに印象深く记忆に残っています。彼は非常に大きな失败をしたのだけれども、それに打ちひしがれることなく、失败から教训を得て、金鉱を掘り続けた以上の成果を手にしたのです。
运が良ければチャンスのきっかけぐらいはつかめるのかもしれませんが、まさにチャンスそのもの、あるいはさらに大きなチャンスを掴むには、やみくもにトライしてもうまくは行かない、やる気や体力だけでは不十分で、智恵が必要なのだと痛感しました。
諦めた採掘者から掘削机を买い取る业者でさえ、つまり自らが採掘をしていない者でさえ、山の地层がどうなっているのか、金の鉱脉がまだどこかにあるのかを探る术を知っていたわけです。そこで金の採掘をする者の间での、いわば常识だったのかもしれません。
しかし、彼らはその常识を知らなかった。突然に思い立って飞び込んだのですから、用意周到にとは行かなかったし、自分が金脉にぶつかるかどうかが胜负だと思っていますから、他の採掘者と交流するなどということもなく、时间を惜しんで掘っていたのでしょう。
ただ、この状态で「もっと掘れ、掘り返せ。」と掘っても、金脉を见つけるような成功にはむすびつかないのではないかと思います。智恵はその人を成功へ、あるいは幸せへと导きますが、それはその人の成功や幸せにとどまらず、その人がより多くの人々の幸せをもたらすが故でしょう。智恵を得るには人徳が必要です。その徳がなければ、いかに重要な情报がその场で出されても、注意を払うこともなく、耳にも残らず、闻き逃してしまうようです。
では、なぜ彼は全米屈指のトップセールスマンになれたのでしょう?
彼は见込のありそうな客であれば、何度断られても足を运んで一生悬命に説得したといいます。「もっと掘れ、掘り返せ。」と言って、自分の心を叱咤激励し、絶対に諦めないという信念と「保険が契约者にもプラスになる」という使命感に支えられていたからではないでしょうか。
次回は「纷争解决の先の平和観」です。
