新入生の皆さんには,法科大学院において法曹を目指し勉学に励むにあたって,2点,留意してほしいことがあります。
一つは,前回に述べました「体系化」です。これは知识と知识とをつなぎ合わせることで,その関係性から全体をあるいは背后にあるものをつかむのです。これには思考のトレーニングが必要です。それは、ある考えを具体的なレベルで当否を検讨し、その考えを抽象的なレベルに昇华させることを繰り返すことです。
おそらく、哲学を、知识の集积として覚えて済ますのではなく、主体的に思考方法を実修する学びの场として考えて「游ぶ」ことが有効であろうと思います。まさに身に修めて教养とするというところでしょうか。
もう一つは「振り返ること」です。时々、自らの学びを振り返って、この学びは何を目的としているのか、その目的に学びの手法が适切に合致しているのか、自分にとって最适なものへとさらに改善する余地はないのかを考え、自らの学びを见つめ直すことを日课とすることです。
基本?基础にあたる知识が正确さを欠くという弱点があるのであれば、その日のうちに、基本?基础を勉强した自らの手法を思い起こし、正确さにいかに取り组んでいるのかという観点で検証します。例えば、ある概念につきその定义が重要であると考え、正确な定义を単なる知识として定着させる场合、基本书等から定义を取りだし、そのすべてを记忆しようとするのでは足りません。事例を解决するのにその概念を用いるため、その定义から思考をスタートさせようとした际に、记忆からこぼれてしまう点が出てきます。
それを避けようとすれば、その定义の正确さがなぜ求められるのか、特にどの点がより正确でなければならないかを问うという意识づけがなされた学修姿势が必要です。この问いに答えてくれるのは基本书であり、裁判例であり、演习问题でしょう。さらに、正确さが求められる点の认识力、あるいはそれに自分で気づけるようになる分析力を获得するには、基本判例や基础问题の反覆学习による深い理解が重要です。その反覆で定义の使い方を学ぶのです。正确さや重要性の判断は定义を使うことによって磨かれ、知识を正确に理解し整理することができます。
この作业を学生の皆さんに委ねるのは意外と难しいようです。そこで、この选択?判断のプロセスを知识の授受の际に取り込んで使える状态に近づいたレベルで知识を整理させる授业が必要となっています。论理的思考のプロセスをモデルとして见せ、一绪に考える机会を提供して、言わば単なる情报を、真に使える知识に変化させることを学ぶのです。
振り返りは授业そのものにも使えます。授业の冒头から最后までを再现することにより教员の言い回しや表情といったものを含めて授业内容を再分析することにより、非常に多くを学ぶことができるはずです(他人の心理状态も観察により理解でき、次の行动も予测できるようになり、先回りができることもあります)。高い集中力が必要ですが、これも授业の振り返りを癖にすれば身についてきます。録音という手もありますが、紧张のなかでの集中を促すことができない点が难です。ここというときに自分の力で最大の学びを得ることができず、悔しい思いをするでしょう。取り返しがつかずにそのまま后尘を拝することとなってしまうかもしれません。
まだ自由に学べるときに、最大限の収穫を得られる姿势を身につけ、その方法も手に入れるべきです。顽张りましょう。
次回は「固定観念」です。
