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第24回 「興一利不若除一害」 藤島 実 (2011/05/03)

&苍产蝉辫;兴一利不若除一害(一利を兴すは、一害を除くに若かず)とは、モンゴル帝国の基础を作ったといわれる大宰相、耶律楚材(やりつそざい)の言叶で、何事においても、一つの利益あることを始めるよりは、一つの害を除くほうに用いるべきだ(诸桥辙次着?中国古典名言事典)という意味です。4月から専攻长となり1カ月がたちました。専攻长の仕事は初めての経験ですが、専攻の运営にかかわる様々な仕事をこなすべく日々过ごしています。専攻长挨拶のページでは専攻が目指している方向についてご绍介しましたが、専攻を运営する上で念头に置いているのが、この「兴一利不若除一害」です。耶律楚材が宰相、つまり现代の首相に相当する职责を果たす上で大事にしていたことからもわかるように、「一害を除く」ことは地味な仕事であるものの、研究室や専攻などの日々の运営に携わる上ではとても大事な教えと考えています。

 一般に、「一害」は「一利」に対して比较的明确にイメージすることができます。考え方や専门分野が异なっていても、课题意识だけは比较的共有しやすいことが多いのです。工学研究では课题の発见から始まりますが、共有しやすい课题の本质となる「一害」を着実に取り除いていくことが组织の运営では重要という教えではないかと思います。

 一方で、研究する上では多くの场合、必要経费となる研究费として竞争的资金が必要になります。新しい技术を开発するために研究费を获得することは工学に携わる教员の仕事の一つとなっています。竞争的资金はその名の通り、「一利」を主张する竞争の中で、自らの研究提案を通すものです。このとき他人の提案(それは场合によっては异なる分野间の竞争になりますが)よりも优っていることをアピールしなければなりません。日本が技术で立国していくために、「一利」が国内だけでなく世界的にも认められ、必要となる研究费を获得しながら技术を発展させていくことは大事なことですが、研究以外の组织运営については、予算などが必要となる「一利」の提案よりも、限られた予算范囲での坚実なやり方が好ましいと感じる人も多いことでしょう。坚実な运営がなされ、安心して研究できる环境が整っていてこそ、教员一人一人が思いきって「一利」を上げるための研究の提案ができるというものです。専攻运営で「一利」を争うことに気を取られると、结果として教员一人一人の「一利」につながるとは限らない、つまり専攻の运営としては、「一害」を取り除く地味な活动に彻しなければならないと自戒したいと思います。

 我々の専攻には、これまでの先辈方の努力により、幸いにして目立つ「一害」はありませんが、教员や学生のみなさんが抱く小さな问题点を取り除き、安心して「一利」を追求できるよう地道に努力したいと思います。最后に、専攻の运営とは直接の関係ありませんが、3月11日に起こった大震灾による灾祸、その后の原発事故による被害について一日も早く「一害」が除かれることも、切に愿っております。

(2011/5/3)

出典:丑迟迟辫://飞飞飞.丑耻诲辞苍驳.肠辞尘/飞颈办颈/耶律楚材


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