麻豆AV

第3回 「釣り人の特権」 東 清一郎 (2010/06/07)

 瀬戸内の海はとても穏やかであまり荒れることがありません。沢山の岛々が浮かび独特の多岛美を形成しています。桥伝いや船で岛屿部まで足を延ばすと、风待ち宿场の面影を残す町并みや小さな渔村も多く残っていて、ゆったりとした时间の流れを感じます。海の水は澄んでいて惊くほどに綺丽な青をしているのです。
 そんな海で、サラサラとした波音を闻きながら钓糸を垂れるのはなかなかに楽しいものです。たまにしか行けないので腕の方はさっぱり上达しませんが、そんな叁流钓り师にも海は家族分くらいの恵みを与えてくれます。钓ったばかりの新鲜な鱼の味は格别で、こればかりは「钓り人の特権」ではなかろうかと、いつも思うのです。
 あれこれと工夫しながら仕掛けを手作りし、潮や天候を読んで钓行计画を立て、大物を梦见て砂浜に立ち竿を振る。大渔の日もあれば、钓れないこともある。一连のプロセスは研究に似てなくも无いかな…と思ったりします。自分で装置を作り、谁もやったことのない実験を试み、失败を重ねた末に结果を得た时の高扬感は「研究者の特権」ではないでしょうか。たとえ学生であっても世界初に挑戦できるのは、応用物理という研究分野が海のごとく広く大きな世界だからと言えるのかもしれません。
 间もなく真珠色の鱼体が美しいキス(鱚)のシーズンが开幕します。大海原に向かって思い切り竿を振れる日が待远しくなって来ました。何と言っても钓りのいいところは、その日のうちに结论が出ることですから(笑)。


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